↓前回までのおはなし↓
22年ぶりの生徒さんとの再会①会いたくない!【日常のこと】【連載】
22年ぶりの生徒さんとの再会②アンケート結果は10:1【日常のこと】【連載】
22年ぶりの生徒さんとの再会③故郷、それが会いたくない理由【日常のこと】【連載】
22年前の話をさせてください。
当時のぼくの生活の中心は演劇でした。
仲間と一緒に劇団を大きくすることを夢見ていましたが、つまらないいざこざで劇団は空中分解しました。
目的を失ったぼくが、生きるためにかろうじてやっていたのが塾講師でした。
だけど塾講師もうまくいきませんでした。
授業が下手くそなのは自覚していたので、当時のぼくはめちゃくちゃ予習をしていました。授業時間より長い時間をかけて予習をやっていて、休日はほぼ授業準備でつぶれていました。
時間的にも精神的にもギリギリで、そんなとき先輩に「お前からはやる気を感じない」と叱られて、ぼくは心が折れてしまいました。
「演劇もうまくいかない」
「塾講師もうまくいかない」
「下手くそな自分が外れて他の人が担当した方がこの子たちのためになるんじゃないか」
「というか何で去年、ノストラダムス(※注)来なかったんだ?」
そんなことを思っていたときに出会ったのが彼でした。
彼は、ぼくが担当していたクラスの生徒さんで、ある日成績アップを認められて上のクラスに昇格することになりました。
だけど彼はぼくのクラスに戻せと猛抗議して、すぐにぼくのクラスに帰ってきました。
……めちゃくちゃうれしかったです。
あのとき彼が何を考えて戻ってきたのかわかりませんが、ただ一ついえるのは、彼がいなければぼくは塾講師を続けていなかったということです。
22年ぶりの再会は、多摩市聖蹟桜ヶ丘でした。
出せる範囲ならツボくらい買う覚悟がありましたが(笑)、ツボも売られなければ宗教にも勧誘されませんでした、
そこには、立派に成長した一人の大人がいました。
(※注)ノストラダムス
1999年7の月に空から恐怖の大王が降りてきて人類が滅亡するという『ノストラダムスの大予言』が当時大ブームとなっていました。
定期的に人類滅亡系のブームは来ますが、ノストラダムスはテレビでも頻繁に特集していて結構なビッグウェーブでしたね。最近はどういうのが流行ってるのでしょう。
(⑤に続く)
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