ぼくが彼に会いたくなかった理由を語らせてください。
ちなみにツボとか、宗教勧誘とかではありません。
今、中学三年生が学校の国語で魯迅の『故郷』を学習しています。
20年ぶりに故郷に帰った主人公の話です。 幼い日の記憶ではキラキラしていた故郷は 実はずっとさびれていて、あこがれていた近所の お姉さんは……あれこんな人だったっけ、と 思わせる姿に映ります。 とんでもなく寂寥感を覚える作品です。 |
まさにこれ!
ぼくは、彼を故郷の主人公にしたくないと思ったんです。
22年ぶりに会って、
「あれ? この先生、こんなしょうもないやつだったけな」
と思わせてしまうと寂しすぎるじゃないですか。
22年も経てば、お互いもう別の人間です。
思い出は思い出のまましまっておいた方がいいかもしれません。
だけどぼくは、アンケートのご神託により、彼に会うことにしました。
「故郷のサブキャラクターに!! おれはなる!!」
(④へ続く)
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